ドロドロとサラサラの血液トリビア

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血液のドロドロとサラサラは両方とも悪?

テレビや雑誌などを見ていると、「ドロドロ血液をサラサラ血液にする方法」などがよく紹介されています。その中では、ドロドロ血液は悪く、サラサラ血液が良い、とされています。健康志向の高い日本人は、こういった情報に敏感です。自分の血液は「ドロドロ血液かしら?それともサラサラ血液かしら?」と心配になり、紹介された血液をサラサラにする食品を食べなくちゃと思ってしまいます。しかし、それはとんでもない誤りなのです。

血液のドロドロとサラサラは両方とも悪?

血液の粘性

実は、血液は「ドロドロ」も「サラサラ」も両方とも「悪い」のです。この「ドロドロ」、「サラサラ」といった表現は、マスコミが一般に広めたものです。専門的には血液は「粘性が高い、低い」と言います。粘性とは、粘り気という意味です。血液は、赤血球、白血球、血小板などの「細胞成分」と、それ以外の液体成分である「血漿」に分類します。血漿には水分の他に脂質、糖質、蛋白質、ミネラルなどの栄養素が溶け込んでおり、これらは血流を巡り全身の隅々までいきわたります。
この血漿に含まれる栄養成分と、細胞成分の血中濃度が高ければ血液の粘性は高くなり、逆に濃度が薄いと粘性は低くなります。これが、よく言われている「ドロドロ血液」と「サラサラ血液」です。

ドロドロ血液とサラサラ血液

高脂血症や糖尿病、高カルシウム血症、赤血球増多症、白血病、転位した癌などの疾患や脱水状態になると血液の粘性が高くなり、「ドロドロ血液」になってしまうのです。このような疾患や症状がある場合は、専門医の診察と治療を受けなければいけません。
ではこの粘性の高い「ドロドロ血液」とは反対の、粘性の低い「サラサラ血液」はなぜ悪いのでしょうか?血液の粘性が低い場合、血液中に充分な栄養素が含まれていないか、細胞成分が減少しているか、もしくは、腎機能などの障害により、余分な水分が排泄できないということなのです。この他に、血液の粘性が低いと、出血したときに止血しにくくなります。ある程度の粘性は、止血に必要なのです。

ホメオスターシス

人間のカラダは、健康な状態であると、カラダのバランスを一定に保とうとする「ホメオスターシス」という機能が備わっています。この機能は、腎臓や肝臓をはじめとする臓器の働きにより、常に血液の粘性を一定に保とうとしています。そのため、粘性に異常があれば、それは「病気」ということです。以上のことから、血液は「ドロドロ」でも「サラサラ」でもない方がいいのです。

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