指の動きトリビア!人体の不思議

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小指と薬指を別々に動かせないのはなぜ?

パソコンのキーボードで入力しているときや、楽器を演奏して音楽を楽しんでいるときなど、指がもっと思い通りに動けばいいのにと歯がゆく思うことがありますよね。とくに、薬指と小指が別々に動かせないのはどうして?と思う人は多いでしょう。

小指と薬指を別々に動かせないのはなぜ?

以前の考え方

人間には、カラダの他の部位とくらべ、指を動かす筋肉がとてもたくさんあります。このため、日常における複雑な作業などをこなすことができるのです。昔から、指を別々に動かしにくい理由として、指の腱がつながっているためだと考えられていたようです。腱とは、筋肉と骨をつないでいる部分のことで、筋肉が収縮すると、腱も引っ張られるのです。実際に、人差し指、中指、薬指、小指の腱の間には、横につなぐ腱間結合がありますね。
例えば、ピアノを弾いているときに中指と小指で鍵盤を押さえると、薬指の腱が曲がる方向に引っ張られているので、伸ばしにくくなるというわけです。

最近の研究では

しかし、最近の研究では、指が別々に動かせない理由は、脳や神経の仕組みや働きとも深く関わっていることが分かってきているようです。実は、脳には各筋肉を動かす神経細胞がありますが、指の場合は、それぞれの指を動かす神経細胞が別々に存在しているわけではないというのです。そのため、薬指と小指が一緒に動いてしまったりといったことが起こるのです。脳では、1つの脳細胞が1本の指を動かすという仕組みとはなっていないので、1本だけ指を動かそうとすると、脳は「大変」だと思ってしまうのです。
実際、ある実験で1つ1つの指につながっている筋肉に針を刺して、神経から送られる電気活動を測ってみると、中指しか伸ばしていないのに、薬指や小指につながっている筋肉も活動することが分かっています。また、隣同士にある指の筋肉がつられて反応しやすいことから、指同士が別々に動かせない原因は、筋肉同士が独立していないだけではなく、脳の細胞同士も独立していないからと考えられます。

訓練次第で

しかしながら、この指の動きは、訓練次第でバラバラに動かすことができるのです。指を動かす訓練を続けると、指を動かす際に働く脳細胞の数が減ることが分かっています。要するに、「指をバラバラに動かせるようになるには、脳の中で変化が起こるから」というのが、もっとも妥当な理由と考えられています。ただし、生まれつき薬指を伸ばす腱の一部が小指を伸ばす腱とつながっているので、小指を曲げた状態で薬指を完全に伸ばすことができない、などの個人差はあるようです。

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